回顧録。七つの星に変わる。

“忘れることが怖いから 少しずつ話をしよう”

「わぐなー」になる。2015年

私事ながら、大学を出た年。
その頃の私は「ロコ」というキャラクターに惚れ込み、アイドルマスターシリーズに傾倒していた。

ーー

就職したものの、仕事がうまくいかない。
先輩の当たりが日に日にキツくなる。

そんな鬱屈とした年でも楽しみは見つかるものだ。

友人が西武ドームで行われるアイドルマスターの10周年ライブのチケットを引き当て、私を誘ってくれたのだ。

有給など使えなかったが、たまたま直前に研修が入り、代休が取れた。
納車2ヶ月の慣れないマイカーで、遠く関東の山奥までドライブした。
「声優のライブ」なんて誰が行くんだ?と思っていたが、その時間は底抜けに楽しかった。

ぐったり、うっとりしながら仙台に帰った私は、すぐに次のライブを探し始める。

私はすっかり「ライブ」に魅了されていた。

ーー

これと並行して、私がよく耳にしていたのがWUGだ。
曲は好きだったから、なんとなくベストを買った。(握手会はスルー)
野球場でのイベントに遭遇し、彼女たちの姿を初めて認知した。

そして、思わずグッズを買った。
夏夜と実波の応援バット。
ここらが初めてWUGにお金を使った瞬間だ。

わぐずーを見た、わぐばんも見た。
タレントさんみたいなことやってるなと思った。
知ってる試合と、告白のシーンが映ったりもした。

七人のアイドルが無料配信されており、思いがけず原点に触れることもできた。



そして、気がつくと私はなんとなしに青春の影を見ようと映画館を探し、フォーラム仙台に行き着く。

(なにこれ、めちゃめちゃ良いじゃん!)

青春の影は『七人』や『TVシリーズ』よりも深く、じっくりと心理描写に尺が割かれていて、人物の魅力を存分に感じられる作品だった。

ーー『WakeUpGirls!』はストーリーこそ荒削りなものの、生ぐさくも魅力的な背景や思考を持つ“人間たち”がせめぎ合う群像劇として見るべき作品だと私は思っている。ーー

モヤモヤばかりが溜まって、何もうまくいかなくて、突破口が見つからなくて、でも何かはし続けなくちゃいけない。
故郷を空ける不安を抱き、大人たちの思惑に振り回されながらも、やがて自分たちを見つけていく。

そんな彼女たちを見て、私はすっかりこの作品に心を奪われていたのだろう。



果てに、続編『Beyond the Bottom』。
PVから聞こえてきた主題歌はゾクゾクがとまらなかった。
大急ぎながら、ばら蒔いた伏線をすべて意味ある形で片付け、WUGのストーリーをしっかりと区切りへ落とし込む構成は爽快で……

気持ちいい!
見てきて良かった!!

そんな底抜けの満足感とともに映画館を後にしたことを、今でも鮮明に覚えている。
これを“今まで見てきてくれたファンだけのために作った”なんてもったいないよ、ゆたかさん。ね?

ーー

さて、そんな経緯があって、私は次のライブのめどを付けた。

ミリマス3rd仙台。
あとそれが終わったら、WUG一回行ってみるかあ。

……なんと!WUGのチケットは抽選で積まなくても買えるんだ。
仙台で公演あるし、行って適当に見てこようっと。

アイマスほどじゃないけど、曲は良いし。」

これが、2015年の私の内面だったと思う。